脳梗塞による私がなったのは、失語症です
2022年2月に脳梗塞より失語症・高次脳機能障害・右麻痺を発症。私は失語症と診断されました。
これは言語機能に障害のある状態で、私にとって大変な経験でした。しかし、この障害と向き合い、自分なりの方法で克服していく過程は、私の人生に大きな影響を与えてくれました。
今日は、私の失語症との闘いの軌跡を皆さんにお話しさせていただきます。
2022年2月に脳梗塞より失語症・高次脳機能障害・右麻痺を発症。
失語症とは何か
失語症とは、脳の損傷によって引き起こされる言語機能の障害です。
脳卒中やけがなどが主な原因ですが、時には原因が特定できないこともあります。この障害によって、話す、聞く、読む、書くといった言語活動に支障が出てきます。
私の場合は、脳梗塞が原因でした。突然の発症に驚き、そして言葉が出てこなくなったことに大変な戸惑いを感じました。日常会話ができなくなり、家族や友人とのコミュニケーションが取れなくなったのです。
失語症には様々な症状がありますが、主なものは以下の通りです。
- 話す能力の低下 – 単語が出てこない、文章を組み立てられないなど
- 聞き取り能力の低下 – 相手の話が理解できない
- 読み書き能力の低下 – 文字の読み書きが困難
これらの症状は程度によって様々ですが、失語症患者にとっては日常生活に大きな支障をきたします。

失語症との闘い
失語症と診断された当初は、私も大変な混乱と不安に襲われました。
言葉を失うことで、自分の思いを伝えられなくなり、孤独感を感じていました。
失語症になると、言葉を失うことは単なるコミュニケーション手段の喪失にとどまりません。
それは自己表現やアイデンティティの一部をも奪われることを意味します。
言葉は私たちが自分自身を方法であり、他者とのつながりを感じる手段です。
私が失語症になったとき、自分の感情や考えを伝えることができないもどかしさを感じました。
これは、他者との関係性にも影響を及ぼし、孤立感を深める原因となりました。
しかし、医療スタッフや家族の支えを得ながら、一歩ずつ前に進むことができました。
リハビリテーションの取り組み
まずは、言語聴覚士によるリハビリテーションに取り組みました。
日常会話の練習から、読み書き、発音の矯正など、様々なアプローチで言語機能の回復を目指しました。最初は多くの困難もありましたが、少しずつ確実に成果が出てきました。
特に効果的だったのは、絵カードや単語カードを使った訓練です。
単語を見て発音したり、絵から単語を思い浮かべるといった課題に取り組むことで、脳の言語野の活性化を促すことができました。
また、嫁さんに協力してもらい、日常会話の練習をしたりしました。
代替手段の活用
リハビリテーションと並行して、コミュニケーションを取るための代替手段も活用しました。
メモ帳やホワイトボードを使って書いて伝えたり、ジェスチャーを使ったりと、状況に応じて様々な方法を試しました。スマホのテキスト入力アプリなども大変便利でした。

特にSNSです
この経験を通じて、人間の創造力や適応力の強さを実感しました。
言葉がなくても、他者と心を通わせることができるという事実は、私に大きな希望を与えてくれました。
また家族や友人にも、私の状況を理解してもらい、コミュニケーションの方法を工夫してもらいました。
例えば、ゆっくりと話しかけてくれたり、私の発言を待ってくれたりと、柔軟な対応をしてくれました。
前向きな心構えの大切さ
リハビリや代替手段の活用に加えて、私が最も大切にしてきたのは前向きな心構えです。
失語症との闘いは決して楽ではありませんでしたが、あきらめずに一日一日着実に歩んでいくことが重要だと感じました。
「できないことに焦点を当てるのではなく、できることに目を向けよう」という姿勢を持ち続けることで、自信を取り戻し、前に進んでいくことができました。
時には挫折感に襲われることもありましたが、家族や医療スタッフの支えに助けられ、再び前に進むことができました。
社会参加への道のり
リハビリを続けるうちに、徐々に言語機能の回復が見られるようになりました。
話す、聞く、読む、書くといった基本的な能力が少しずつ戻ってきたのです。
この回復過程で、私は社会復帰を目指すことにしました。まずは、近所の人たちとの交流から始めました。
挨拶を交わしたり、簡単な会話をしたりと、少しずつ自信をつけていきました。
失語症を抱えながらも、できることから始めて社会とつながっていくことが、私の大きな目標でした。
周りの人々の理解と協力を得ながら、少しずつ自分の居場所を見つけていったのです。


失語症との共生
現在、私は失語症と上手く付き合いながら、充実した日々を送っています。
確かに、言語機能の完全な回復は難しいかもしれません。しかし、それを受け入れ、自分なりの方法で生活の質を高めていくことが大切だと考えています。
自己理解を深める
失語症との共生には、まず自分自身を理解することが不可欠です。自分の症状の特徴や、得意な分野、苦手な分野を把握し、それに合わせた対応策を立てることが重要です。
私の場合、読み書きは比較的得意ですが、会話は苦手という傾向がありました。
そのため、コミュニケーションを取る際は書いて伝えるなどの方法を活用しています。また、集中力が続かないこともわかったので、休憩を取りながら作業するようにしています。
このように、自分の特性を理解し、それに合わせた対応策を立てることで、失語症との付き合い方が見えてきます。
周囲の理解を得る
失語症との共生には、周囲の人々の理解と協力も不可欠です。私は家族に、自分の症状や困っていることを詳しく説明し、サポートを求めました。
また、職場や地域の人々にも、できる限り自分の状況を伝えるよう心がけています。失語症は見た目ではわかりにくい障害ですが、理解と協力があれば、社会参加を果たすことができます。
周囲の人々に自分の状況を理解してもらい、必要な支援を得ることで、失語症との付き合い方がより円滑になります。
社会への理解と支援の必要性
失語症を経験する中で痛感したのは、社会全体としてこの病気に対する理解と支援が必要だということです。
多くの人々がこの病気について知識がないため、失語症患者は誤解されやすく、また偏見にさらされることも少なくありません。
私自身も、その影響で不安や恐怖を感じることがありました。
だからこそ、教育や啓発活動を通じて、失語症についてもっと広く理解されることが重要です。
言葉を超えた支え
失語症になったことで、私は自分の思いや感情をうまく伝えることができなくなりました。



私を支えてくれたのが妻の存在でした
しかし、妻は私が何を伝えたいのかを理解しようと常に努力してくれました。
彼女は言葉だけでなく、私の表情や仕草からも私の気持ちを読み取ろうとし、コミュニケーションを図ってくれました。
このような努力は、本当に心強いものでした。
日々の生活でのサポート
日常生活では、多くの場面で言葉が必要です。
病院での診察や買い物、友人との交流など、あらゆるシーンで妻は私の代わりに言葉を紡ぎ、私がスムーズに生活できるようサポートしてくれました。
また、リハビリや治療に向き合う際も、彼女は常にそばにいて励ましてくれました。
感謝を込めて
「嫁さん、本当にありがとう」という言葉では足りないくらい、彼女への感謝の気持ちは大きいです。


彼女の支えがなければ、私は今の自分を取り戻すことはできなかったでしょう。
彼女の優しさや理解、そして忍耐強さには心から感謝しています。


おわりに
私の失語症との闘いの軌跡をお話しさせていただきました。
言語機能の障害は大変な試練でしたが、前向きな姿勢と周囲の支えによって、少しずつ前に進むことができました。
今では、失語症と共生しながら、充実した日々を送ることができるようになりました。
自分の特性を理解し、新しいスキルを身につけ、周りの人々の協力を得ることで、言語の障害を克服することができたのです。
この経験から学んだのは、あきらめずに前に進み続けること、そして自分なりの方法で課題に立ち向かっていくことの大切さです。
失語症と診断された方々に、私の経験が少しでも希望となれば幸いです。